チャートに投資家心理が表れる

FXを含む為替取引は投資家の駆け引きの応酬であり、一種の心理戦に他なりません。チャートにはさまざまな投資家の心理や思惑が色濃く反映されており、それを読むことで、その後の値動きパターンを推測することができます。 実際、FXで投資家心理を利益に結びつけられる場面は少なくありません。

たとえば、ある通貨ペアが大きく上昇したとします。このとき、どのような心理の投資家によって買われたのでしょうか。逆に、ある通貨ペアが大きく売られたとき、投資家の心理がどうなり、それが投資行動にどう影響を及ぼすのでしょうか。FXではなぜトレンドラインやサポートライン、レジスタンスが生まれやすいのでしょうか。半値戻しや全値戻しがよく起こるのはなぜでしょうか。

実はこれらはすべて、投資家の心理や感情、思惑や目論みが、チャートに現れたものです。ですから、これらが読めるようになれば、FXで儲けられる可能性が格段に高まるのです。そこで、今回の記事では、「投資家心理を利用して相場から利益をあげるにはどうしたらよいか」というテーマで、私見を述べさせていただきます。

相場に全値戻しが多い理由とは

FXを何年か経験している方ならお気づきのことと思いますが、ある通貨ペアが短期間に大きく変動した場合、結局は、元のレベルまで戻ることが少なくありません。

大きく動いた後に、変動のスタート地点まですべて戻すので、このような値動きは「全値戻し」と呼ばれ、チャート上によく見られるパターンのひとつです。なぜ、全値戻しという現象がよく出現するのでしょうか。実は、これは投資家の心理を如実に反映したものなのです。

画像は、「ユーロ/米ドル」の4時間足チャートです。

「ユーロ/米ドル」4時間足チャート

3>「ユーロ/米ドル」4時間足チャート

B印下のローソク足の始値あたりから、大きく下落していることがわかります。下げ始めから350pipsも下落したC地点で底を打ち、ジワジワとE地点まで全値戻しをしています。さらに、F印のローソク足では赤い水平ラインを上抜けて、強い上昇トレンドが発生したようです。

これらのチャートの推移から、どのような投資家心理や思惑を読み取り、どうトレードに活かせるのでしょうか。

どこにストップ注文を入れているかを読む

Aのあたりのローソク足は、値動きが緩慢で勢いがありません。そこに、B印のローソク足で大量の売り注文が入り、直近の安値(ピンク色のライン)をどんどん割り込んで、急落しています。一般的な順張りFXトレーダーならば、直近のローソク足の安値をブレイクしたレベルで、売りたいと目論んでいます。

実際、B印のローソク足では、1時間に150pipsも急落していますが、Bのローソク足の始値に引いた赤い水平ラインあたりから、直近のローソク足の安値を下値更新するたびに、大量の売り注文が入ったことがうかがえます。ところで、Bのローソク足で売りエントリーした投資家は、どこにロスカット注文を置くでしょうか。

典型的な逆指し値注文は、自分がエントリーしたところから一定幅の逆行ポイントや、売りの場合ならば、直近の高値の少し上あたりが多いでしょう。それを考慮すると、赤い水平ラインや、ピンクの水平ライン付近に、ロスカット注文がズラリと並んでいることが容易に予想できます。

そのため、売っているトレーダーのなかには、下落が一転して上昇に転じ、自分の売り値に近づいてくると、利食いやロスカットをする人が徐々に増え、売りポジションを手仕舞いはじめます。そして、Bのローソク足で売った投資家の大半が、出した注文を利食いや損切りで決済し終わるE地点では、戻りで上昇してきた値動きにいったん、勢いがなくなるわけです。これがFX相場に全値戻しが多い理由なのです。