米国の数ある経済指標の中でも、雇用統計は断トツで注目度ナンバーワンです。なぜかというと、まず実測に基づくハードデータの中で、雇用統計は最も早く発表される指標だからです。雇用が強ければ景気は強いし、インフレリスクも大きいと判断できます。雇用統計が当該月の景気を判断するにあたっての試金石、ひいては相場全体の先行指標となるわけです。
雇用統計が注目されるもう一つの理由は、雇用情勢が米国の金融政策に大きな影響を及ぼすことです。米国の金融政策を担っているのは中央銀行に相当するFRBです。そのFRBは自らの責務として「物価の安定」と「雇用の最大化」を掲げています。これらをFRBの二大責務(デュアル・マンデート)と言います。本稿を執筆している2014年4月の時点で、米国の政策金利はゼロですが、FRBは一時期ゼロ金利を解除するための基準値を設定していました。すなわち、消費者物価指数が2.5%を上回らず、失業率が6.5%を上回っている限り、利上げしませんという明確なガイダンスを掲げたのです。

ちなみに2014年3月には、失業率6.5%の基準値は撤廃され、「労働市場やインフレ圧力など幅広いデータを考慮する」という抽象的なガイダンスに改められています。